育てにくい子?Strong Willed Childとは | ASDやADHD, HSPとの関係は

世界で育てる

近年、「発達障害」「自閉症」「グレーゾーン」「ASD」「ADHD」そして「HSP : Highly Sensitive Child」と言った発達の凸凹特性を表す言葉を、より身近に聞くようになりました。

ちょうど今月は、国連が制定した「世界自閉症啓発デー」も4月2日にあり、日本では2日~8日の期間を「発達障害啓発週間」と位置付け、自閉症をはじめとする発達障害への理解促進のために主に地方自治体主導で集中啓発を行っています。

「生きづらさ」「育てづらさ」をの認知が広がることは、必要な対応・支援に繋げやすくなることであると考えると、この認知向上は好ましいものだと言えるでしょう。

本日は、日本ではまだあまり聞くことはないけれども筆者がカナダで直面した「Strong-Willed Child」と呼ばれる子どもの特性について、ご紹介します。

カナダのプリスクールに通い始めて3ヵ月、初めての保護者面談で先生が娘のことを「Strong-Willed」と仰ったことで初めて知り、調べました!

すると、まるでそこには我が娘のことを言っているとしか思えない解説の数々・・首がもげるほど頷き倒しました。

と、同時に、これまでぼんやりと感じていた「育てにくさ」の正体を知ることができたように思い、娘の癇癪に冷静に対処できるようになったように思います。

まだ日本ではHSC(Highly Sensitive Child)ほど聞くことがなかったので、私と同じように意志の強い子の対応に日々白目を剝いている方の参考になればと思い、調べた内容をとりまとめてご紹介します。

なお、信頼できる情報元(記事最下部に記載します)で調べているつもりですが、インターネット上の情報を元に一般人が執筆しております。医療関係の方、教育関係の方で監修をしていただける場合にはぜひお願いしたく、ご協力いただける場合にはご連絡をいただけますと幸いです。

Strong Willed Child とは

Strong-Willed Child (ストロングウィルドチャイルド:意志の強い子)とは, Highly Sensitive Child (非常に敏感な子)と同様に子どもの「気質」を表す言葉で、英語圏では教育や育児、児童心理学の場面で広く使われています。

Strong-Willed Childは Spirited (活発な、勇ましい)Childと呼ばれることもあり、一般的に「頑固な子」「育てにくい子」というニュアンスが含まる一方、最近では「生まれながらのリーダー」とも呼ばれていて、クリエイティブ遂行力があるというプラスの面もよく取り上げられています。

8つの特徴

Strong-Willed Childには、下記のような特徴が見られることが多いと言われています。

1. 激しい癇癪

Strong-Willed Childは心の中に人一倍強く、燃え上がりやすい炎(意志)を持っています。

誰かがその炎を消そうとすると、火に油を注いだように大火事になることがあります。

イヤイヤ期を過ぎても癇癪が頻繁に見られる場合には、Strong-Willed の気質を持ち合わせているかもしれません。
   

4歳の娘の場合も沸点が低く、感情が爆発すると激しく泣いたり私を蹴ったりします(涙)

私は現在 Strong-Willed Childへの対応について勉強し始めたところで、海外で取り入れられている、「感情を学ぶ、コントロールする」というアプローチを頑張ってみています。

娘の感情が爆発した/しそうになった時、それが「怒り」「悔しい」「悲しい」という感情であること、その感情を持つこと自体はとても自然で皆そういう時があることを伝え、「そういう時にはママはこうするんだ」と教えてみたり。

「感情」を教える時に、こちらの「おこりたくなったら、やってみて!」という本がとてもおススメです。

ユニコーンのガストンは、気分によってたてがみの色が変わる子で、怒って頭の中にカミナリ雲が発生すると、たてがみは真っ赤になってしまいます。

この本では、そのかみなり雲を、「いきのしかたで おいだすのは どう?」と、呼吸法を教えてくれています。

別にこの呼吸法をマスターしなくてもいいと思うんです。

感情が爆発しそうになった時にやるルーティンを見つけることができたら少し安心かなと思って取り組んでいます。「深呼吸」「タイムアウト(=別の部屋などに行く)」「枕に向かって大声で叫ぶ」など色々試してみています。

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2. 指示を簡単には受け入れない

「大人がこう言ったから」「先生がこう言ったから」という理由で行動をすることは、Strong-Willed Childにはあまり見られません。

彼らは自分自身が納得する理由がない限り、指示に従わない、ということが多々あります。

「できない」のではなく、「やる意味が納得できないからやらない」のです。

3. 理由を追求する

そして、大人の指示が自分が納得できる理由に基づいているのかを知るために、「なんで?」を繰り返します。

こちらはStrong-Willedの娘とのよくある会話パターンです。

うり(母)
うり(母)

車に乗る時には安全のためにシートベルトをするんだよ。

ぐーす(娘)
ぐーす(娘)

なんで?

(安全のためにって言っただろおぉぉぉぉ)
急ブレーキとかかけた時に飛んでっちゃうからだよ。

なんで?

(急ブレーキでなんで飛んでいくのかってことかな?)
車は急ブレーキで止まるけど、中に乗っている人や物は元のスピードのまま進む力が残ってるから、押さえるものがないと飛んでっちゃうんだよ。

なんで?

(慣性の法則・・・3歳児・・・実験・・・ムリ・・・)

白目

結局Youtubeで自動車衝突事故の実験映像を食い入るように何度も何度も見て、納得したようでシートベルトは言わなくてもちゃんとするようになりました。

ちなみにお巡りさんに怒られちゃうよパターンでもエンドレス「なんで」です。

Strong-Willed Childは世の規範や権威よりも、自分の目で見たものを信じる傾向が強く、そのため、実験が好きな子どもが多いです。

4. 終わらない反論

2,3の流れで指示されたことに対して自分が納得した答えが得られない場合、もちろん指示には従いませんが、大人がそれでも罰則などを付けて行動させようとする場合、どんなに議論が長くなっても引きません。

どうにかして自分の意見を通そうと全力で反論します。

我が家の場合は、交渉をしてくるパターン(「歯磨きするならもう幼稚園行かない!」)と、ママひどいパターン(「ママのせいで娘ちゃんの心が傷ついちゃったんだよ!?」「もうママのところからいなくなる!」)が多いです。ヤメテクレ

5. マイペース

自分がしたいことを、したいタイミングでやりたいというのがStrong-Willed Childの究極的な願いです。

そのため、「音楽の時間」「体操の時間」など、自分の意志とは関係なく動くことがストレスとなっていることがあります。

また、集中して好きなことに取り組んでいる時に、「ごはんよ」「出かけるよ」と時間で区切って切り上げることも苦手な傾向がありますし、自分が買いたいものがないのに買い物に連れていかれると3分で「帰る」という場合も。

6. やりとげたい

やりたいことが決まったら、満足するまでやりきりたいのがStrong-Willed Childです。

育てている親にとっては頭痛の種ですが、自分の興味/関心があることに満足するまで取り組むことができるというのは実はすごいことです。

娘はモンテッソーリのプリスクールに通っているのですが、毎日おやつを食べるのを忘れるくらい「おしごと」に没頭して帰って来るので、気質に合っているのかなと思っています。
(マイペースな子への理解があるのが大変ありがたい・・・)

7. 独自ルールを作る

Strong-Willed Childはクリエイティブな子が多く、「こういうやり方でやろう」と決めたらそれを他の人の都合で曲げることは困難です。

寒い日に半袖で出かけようとしているのを、「寒いから長袖にしよう」と言っても、自分で選んだ服をそう簡単には脱ぎません。

外に出て、実際に寒いことが分かれば自分の意志でコートを着ます。

また、年齢が低い時にはルールのあるボードゲームなどに自分ルールを追加して来るかもしれません。年齢が上がると本来のルールを受け入れ、勝つときも負ける時もあるゲームを楽しめるようになる場合が多いですが、時間がかかる場合もあります。

8.リーダー気質

クリエイティブで、自分が「こう!」と思ったことを追い求め、周りの大人をも説得しようとする強く熱いStrong-Willed Childは、それが正しい方向であれば、そして周りの人へのリスペクトを忘れなければ素晴らしいリーダーになる素質を持っています。

一方で、頑固でなかなか修正が難しかったり、うまくいかなかった時に爆発してしまったりと、育児が大変なだけではなく、「このまま大人になって大丈夫かな?」と少し不安を心配になる保護者の方も多いと思います。

発達障害との関係は?

発達障害者支援法によると、発達障害は「自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害など の脳機能の障害で、通常低年齢で発現する障害」と定義されています。

一方で、Strong-WilledやHighly Sensitiveというのは子どもがもって生まれてきた「気質」とされており、「気質」は誰にもあるものです。

発達障害の診断がおりるのは、「気質」の結果出てきた「行動」や「症状」に基づくことを考えると、Strong-Willedの気質を持つ子どもの中で、発達障害と診断されるケースもあるかもしれないですし、発達障害の診断が下りないケースも多くあるでしょう


自閉症に限らず発達障害の診断は支援とセットでなされるべきです。

支援(特別な配慮)が必要であることの根拠として診断が必要なのです。

発達障害とは発達の特性が原因となって、現在の社会生活が生き難い状況にあるということを指す概念です。診断は現在そのような状況にあるという証明です。

出典:一般社団法人 日本小児神経学会 小児神経Q&A
   Q80:自閉症について教えてください ②発達障害はどのように診断されますか

一概にStrong-Willedと言っても、程度にはばらつきがある(スペクトラム)とされいるため、支援が必要(親 and/or 本人が日常生活で困っている)場合には、専門医を受診しそこで何らかの発達障害の診断が下されることで、必要な支援に繋げてもらうことができるはずです。

またスペクトラムに関して言えば、特に幼児期においては感情のコントロールの仕方を学んでいく過程であるため、多くの場合は年齢と共に薄れ消えていくとされており、正式な診断をもらうまでにはある程度長期で受診をする必要があるかと思います。

幼児期を過ぎてもStrong-Willedの傾向が強く日常生活に影響が出ている、長い期間(6か月以上)に渡り頻繁に、そして継続的に、Strong-Willedに起因する行動面での困難がある、という場合には反抗挑戦性障害(ODD : Oppositional Defiant Disorder) にの可能性もあると言われており、ODDはADHDとも関連があると言われています。


反抗挑発症/反抗挑戦性障害は、9~10歳未満の子どもに見られることの多い障害です。症状は「怒りっぽく/易怒的な気分」(かんしゃくを起こしたり、イライラしやすい)、「口論好き/挑発的な行動」(権威ある人や大人と口論したり、規則を破る)、「執念深さ」の3カテゴリーに分けられます。

出典:ハートクリニック こころのはなし
うり
うり

実は、私うりの夫は第一印象大変穏やかな人なのですが、幼少期たいへんなわんぱく坊主、ガキ大将でやや度を越していたようで(義母談)、大人になった今を見ても実はStrong-Willedの気質を持っているし、幼少期はODDグレーゾーンだったのかな・・と考えることがあります。

夫の幼少期の話を聞いた上でStrong-Willedの娘を育てていると、娘の自立しているところや、実験好きなところ、クリエイティビティがあるところは「すごいな」と思いつつも、強い意志は、コントロールを学ばなければ周りの人や彼女自身を傷つけてしまうのではないかと思うときがあります。

そのため、娘がちょっと世間的に考えるとおかしい主張をする時にはしつこい程聞いています。

自分や周りの人にとって危ないことではないか
自分だけでなく、周りの人の気持ちもリスペクトできているか

また、怒りの衝動が湧き上がってきたとき、それを自分でコントロールする方法について、家族で話したり、私自身頭に血が上った時の話などを伝えて、「感情のコントロール」を意識的に練習しています。

信念が強く意志を貫き通せるというのは、それが苦手な私のような人からしたらすごい才能ですが、諸刃の剣です。他の人へのリスペクトを忘れなければ素晴らしいリーダーシップを発揮できる可能性は高いと思うので、うまく導いて(?)あげたいです・・!

まとめ

日本ではあまり聞くことのない「Strong-Willed Child」

特性を理解すると、保育園や幼稚園の先生と認識と共有できたり、対処法を調べる時のヒントになったり、海外ではStrong-Willed Childを育てている親のグループフォーラムや、カウンセリングもあります。
(現在実際に入ってみて勉強中です。ご関心ある方いらしたらシェアします。)

HSPのように日本にも認知が広がっていくことで、子育てに悩む親たちの気が軽くなったり、必要な訓練や支援を早いうちからできると、大きくなった子ども達が生きやすくなるのではないかなと思います。

参考記事

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